研究紹介

動的特性の計測・推定技術

計測対象には、様々な時間粒度(スケール)での「ネットワークの局所的状態」、「ネットワークの大域的状態」、「フローが経験する通信品質」がありますが、大規模性や管理の分散性から対象特性の直接的/全体的な計測が困難な場合には、間接的/部分的な計測からの推定が必要です。ここでは特に、直接計測が困難な特性を、同時多地点での計測データ間の相関を用いて統計的に推定する「ネットワーク・トモグラフィ」に取り組んでいます。トモグラフィとは断層撮影のことで、例えば、X 線を用いて複数の方向から透視して、切開せずに内部の 3 次元的な診断を行なう場合等を指します。ネットワーク・トモグラフィもそのアナロジーで、例えば、「複数地点を縦断するあるフローの特性を、各点での集約フロー(通過する複数フローの和)の特性の同時計測から推定する」技術や「複数のパスに共有されるある内部区間の特性を、各パスのエンドツーエンドでの特性の同時計測から推定する」技術を研究しており、現在、前者では大きなネットワークの複数の出入口ルータの各ペア間のフローの流量統計を推定する手法を、後者ではネットワーク上の片道部分区間(例えば指定した WWW サーバあるいはルータから自 PC への下り道)のパケットロス率や遅延変動を推定するツールを開発しています。

アクティブネットワーク技術

インターネットでは、柔軟性や経済性を重視した結果、中継ノードの機能を簡素化し、代わりに情報サービスの提供はエンドノードが行ない、また、エンドノードがエンドツーエンドのプロトコルに基づいてネットワーク状態の推定やネットワークへの送出の適正化を行なって、サービスに必要な品質の確保を図ってきました。このエンドツーエンド原則のおかげで今日のような大規模なインターネットが実現可能になったと言われています。しかし、提供サービスや利用環境・接続形態の多様性の増大に従い、エンドノードと中継ノードとの連携も重要になってきました。多様なサービスや利用環境に依存して発生する個々のフローの特性や必要な品質はエンドノードが知っており、一方、多様なネットワーク内部の状態は中継ノードが知っているので、それぞれの要求条件を満し、変化にすぐに適合し、かつ全体の効率や公平性も考慮した制御・管理を行なうには、両者の連携が不可欠だからです。アクティブネットワーク(Active Network)は、そのような要請に答えるために、中継ノードの持つ機能を動的・柔軟に変更できる枠組みとして提案された、プログラマブルなネットワークを目指した、将来的な技術です。ここでは特に、その中でもカプセルモデルと言われる、各パケット内にエンドノードの指示等の情報を含ませ、それに基づいて中継ノードが細粒度で柔軟に処理を変更する仕組みの応用に取り組み、現在、他人の通信に迷惑を懸ける「アグレッシブな」動作を排除した軽量な AN の枠組みの中で、計測・制御・時刻同期等における応用を開発しています。

DTN(Delay/Disruption/Disconnected Tolerant Network)

今日、情報通信技術の発展に伴い、多くの場所で高速で安定した通信を行えるようになっています。しかし、高速ビルの陰や地下街などの電波が届きにくい場所や高速に移動する通信環境など、通信が安定しない場所もあります(劣通信環境)。劣通信環境では、データ(パケット)を受け取るのが遅くなったり、通信が断続的になったり、データを損失してしまったりするという問題が起きてしまいます。そこで、劣通信環境でも安定した通信を行えるようにするためにDTNといった研究が行われています。

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